私たちがお金を借りたいときに、どの貸金業者を選ぶかという場面までは、利用者側が主導権を持っています。貸金業者側は、申し込んでくる相手にお金を貸すか貸さないかを選ぶことは出来ても、「この人にお金を貸そう」とアプローチを掛けることは出来ません。
私たちが借り入れの利用先を決めると融資の主導権は貸金業者側に移ります。今度は私たちに決定権がなく、相手が融資を認められなければ、絶対に借り入れをすることは出来ません。
貸金業者が融資を嫌がる相手で最も有名なのが、通称「ブラック」と言われる利用者です。今回は、この「ブラック」とはどういった人がなるのかを解説していきましょう。借り入れで大幅に不利になるので、お金を借りる予定がある人は、この状態になることを避けなくてはいけないのです。
ブラックと言っても、別にどこかが黒い人ではありません。ではなぜブラックという名称なのかということですが、これは、信用情報機関に金融事故情報が記録された状態のことを指しています。
ブラックと呼ばれる金融事故者は、過去に特定の手続きをしたときに、個人の金銭的な信用を評価している信用情報機関という会社に、その事実が一定期間記載されます。この状態になっている人のことを「ブラック」と貸金業者が独自に名付けたのです。
つまり、ブラックとはあくまで通称で法律的な意味はなく、正式呼称は「金融事故者」のことを表しているのです。
ブラックは、どんな職業であっても、どれだけ収入が高い人でもなる可能性があります。地位や収入ではなく、特定の行為をしたか否かという基準しかないためです。
銀行や消費者金融にカーロドーンやキャッシングを申し込むと、貸金業者側は、本人確認審査をする過程で、信用情報機関にその人の金融事故歴を問い合わせます。この過程はどんなに審査が甘い業者でも必ず行われます。
このとき、金融事故を起こしたという事実が発覚すると、その時点でほとんどの審査は終了となり、融資が断られます。では、この金融事故とは何のことを指しているのかを解説していきましょう。
私たちが特定の行動をすることにより、金融事故と扱われるのですが、記録がなくなるまでの期間は5年間と、かなり長く残ります。
一度でも登録されると、その記録を私たちはどうやっても消すことが出来ません。おとなしく期限が切れるのを待つしかありません。その間は借り入れで極めて不便な思いをすることになるので、上記の行動は可能な限り避けましょう。
カードローンやキャッシングといった軽い借り入れだけでなく、住宅ローンやマイカーローンを組む際や、クレジットカードを契約するときにも、ブラックであると審査にほとんど通りません。
貸金業界では、利用者の返済能力もそうですが、個人の信用というものが非常に密接に契約にかかわってきます。多少収入が少なくても、過去に返済実績が十分であれば、融資を渋る業者が少ないのがその証拠です。
ブラックになっている人は、貸金業者にとってお金を貸す相手としての信用はゼロどころかマイナスなのです。
主だった銀行や大手消費者金融、多くの中小消費者金融ではどれだけ利用金額を少なく希望しても融資自体が認められなくなります。さらに、クレジットカードの契約を切られる可能性も非常に高く、当然、新規に契約もできなくなります。
会社に車で通勤している人など意外と知られていない点で注意すべきなのは、ETCカードも使えなくなるという点です。ETCレーンに入って支払いが出来ずに立ち往生する人が多いです。
ちなみに、先述した信用がゼロの相手というのは、今まで一度の借り入れをしたことがない人です。借りたことがないので、ちゃんと返済する人なのか判断がつけられないという意味で、信用評価がゼロなのです。
一度もお金を借りてない人は借り入れしやすいというのは全くの誤解で、何度も借り入れした人のほうがはるかに審査に通りやすくなります。
さて、ブラックの人はほとんど借り入れを出来なくなるという実情が把握できたところで、もしこうなってしまった人は本当にどこからもお金を借りることが出来ないのでしょうか。
ブラックになると誰でも知っているような有名な銀行や消費者金融では確実に借り入れを断られます。しかし、全ての貸金業者がこのような対応をとっているわけではありません。
意外に聞こえるかもしれませんが、中小貸金業者の中には、ブラックであってもごく少額であれば融資を行っている業者があります。
融資金額は多くても10万円前後ですが、合法の消費者金融から借り入れができるケースがあります。返済能力が十分にあるという証明が必要ですが、どうしても臨時にお金が必要なったときにこうした貸金業者があるということを知っておくのは、決して損にはならないでしょう。
しかし、ブラックになったときに真っ先に注意すべきなのは、近寄ってくる悪徳金融業者です。不思議に思うかもしれませんが、金融事故を起こしてブラックになった途端に、見ず知らずの金融業者から融資を受けないかという電話がかかってくるようになります。
(⇒ブラックでもキャッシングをあきらめないで!
こちらが借り入れを申し込んでもいないのに、相手のほうから電話などを介して融資を勧めてくる貸金業者は、間違いなくすべて闇金です。
闇金は金融事故を起こした者を独自の情報網によって把握しており、通常であれば借り入れできないような相手を重点的に狙って、違法金利でお金を貸そうと誘いをかけてくるのです。
金融に詳しくない人ほど、「ブラックになると生活が大変だ」と誇張して警告しますが、何が出来て何が出来なくなるかを正確に知っておけば、ブラックになっても大騒ぎするほどではありません。
もちろん、ブラックになっても平気だと安心して、雑な借り入れをするようでは問題です。しかしたとえば、クレジットカードを普段使わない、借り入れも滅多にしない、携帯電話や公共料金はコンビニなどで支払っている、買い物で分割払いをしたことがない、というような人は、ブラックになったとしても生活の上でほとんど不利益を被らないのです。
先に述べたように、ブラックになることによる不便な点とは、大きく分ければ、借り入れが出来なくなることと、クレジットカード関連の不便さのみです。極論すれば、借り入れもせずクレジットカードも持っていない人がブラックになっても、どうということはないのです。
ブラックになったからと言って、日常生活のすべてに不利益があると考えるのは間違っており、その間違った認識のまま適切な行動を取れなくなることの方が損な行動になるのです。
ブラックに一度なると、その期間はどうやっても制限がかかった状態になるのですが、反対にその期間が過ぎれば、ちゃんと元の状態に戻れるのかという疑問をよく聞きます。
債務整理のうち、自己破産以外は、基本的に5年間で金融事故の情報は消去されます。消去されれば、以前と同じように借り入れをすることが出来ますし、クレジットカードやETCカードを利用できるようになります。
「金融事故を起こした事実は5年以降もずっと残るのではないだろうか?」という不安を持っている人も多くいます。これは明確に否と言えます。指定期間を過ぎれば、信用情報機関に記載されていた金融事故の内容は完全に消去され、事故を起こす以前と全く同じ内容に戻ります。
そのため、お金を借りようとした時に遥か以前の金融事故の内容を蒸し返され、審査で弾かれるということは起こり得ません。
金融事故による制裁期間というのは、言ってみれば、「その間は借り入れは控えて反省するために設けられた時間」のことでもあるのです。
従って、その期間に何も問題なく過ごせば再び同じ扱いにしても問題ないという考えで成り立っている制度なのです。むろん、また借り入れでトラブルを起こせば、再度同じ処分を受けるので注意が必要です。
最後に、法的な問題について補足しておきましょう。ブラックになる具体的な行為について、最初の部分で4つのケースについて触れましたが、ここでは、まとめとして厳密な定義を解説していきましょう。
債務整理とは、自己破産、個人再生、特定調停、任意整理があります。債務整理の主な目的は、返済できなくなった借金を合法的な手段で減らすことにあります。借金の額面度合いは、例に挙げた順番で深刻です。最も厳しい状態で行うのが自己破産であり、最も軽い状態では任意整理を行うのが一般的です。
次に、代位返済というのは、連帯保証人に自分の代わりに借金の返済をさせてしまったときや親族に返済を肩代わりさせてしまったときに記載されます。要するに、自分の借金を自分で返せなかったという証が代位返済という内容で記載されるのです。
債務整理と代位返済の違いは、借金を額面通りに返済したかどうかです。
クレジットカードの引き落としや携帯電話の利用料金の延滞は短期間であれば「延滞」と記載され、長期間になると「契約解除」と記載されます。また、公共料金の支払いが滞った場合も契約解除に該当します。
【参考ページはこちら】
リボ払いがブラックリストの原因になる?
ブラックは一定期間が経過すれば個人の信用は元に戻るため取り返しがつかないようなことではありませんが、その原因となる行動は、事前に注意すれば回避することが出来るものがほとんどです。ちょっとしたことで5年もの間不便な思いをしないように、借金の扱いは細心の注意を払うべきなのです。
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