派遣社員でもキャッシング可能?審査で注意することは?

無職の人は、貸金業者から借り入れをすることが非常に困難です。消費者金融でも銀行でも、職業欄に無職と記入しただけで借り入れが利用できない旨が通知されるほどです。

そこで、無職であっても借り入れができるようにと考え出されたのが「名ばかり派遣社員」です。簡単に言えば、派遣会社に登録だけして、実際には働かずにいる状態のことです。これにより、無職であってもあたかも派遣社員のように見せ掛けられるのではないかと考え出されたのです。

今回は、この派遣社員の登録しただけの人のキャッシング事情について解説していきます。短期でアルバイトをするべきか、派遣登録を優先するべきかについても触れていきます。

無職だとキャッシング審査に通らない理由とは?

そもそも、なぜ無職だとキャッシングなどが利用できないかというと、返済できる見込みがないと金融業者に判断されるからです。

たとえ株式などの有価証券といった資産を持っていたとしても、収入がない場合は貸金業者には無職と判断されてしまいますので、投資家は借り入れする際には注意が必要です。

お金を貸したときに、その人がどのくらいの確率で返済ができそうかを判断する指標のことを「返済能力」といいます。これは、職業・収入の額・勤続年数によって判断されます。

公務員や大企業など、職を失うリスクが低い職業ほど評価が高くなり、収入は高いほどよく、勤続年数は長いほどよくなります。これらと借入希望額を総合的に判断して、貸金業者は利用者にお金を貸すかどうかを決断するのです。

無職の場合は、この条件を全て満たせないので、信用評価は最低になります。要は、「返せる見込みのない人に貸す金はない」ということなのです。貸金業者は、お金の必要な人ではなく、返してくれそうな人にお金を貸すのです。

派遣社員はどのくらいの信用評価を得られるの?

無職の人が貸金業者にほとんど信用されないことが分かったところで、肝心の派遣社員について解説していきましょう。

派遣社員には、大きく分けて、一定期間特定の職場で勤務する契約社員と、いくつもの勤務地や職場を転々とする短期派遣社員がいます。後者は短期アルバイトのようなものですね。

契約社員は、貸金業者に意外と高い信頼評価を得ることができます。契約期間内は、職を失うリスクもある程度低いと判断され、準正社員と同じ扱いになります。準正社員とは、勤続年数2年未満の正社員のことです。

金融業者が一番お金を貸したい相手は、公務員で、次点で正社員。ここでいう正社員とは、直近の職場での勤続年数が2年以上の人です。正社員であっても入社したての人は、意外と信用が高くありません。勤続年数が2年未満の人は準正社員という名称で扱われます。

さて、契約社員はこれでいいとして、無職の人が成りすますのは、もう一つの短期派遣社員でしょう。派遣会社に登録して、希望する現場に短期で派遣され、そこで働くという形式をとります。好きな時に働ける反面、収入は不安定になります。

契約社員以外の形態の派遣社員は、貸金業者にとっては融資リスクが高い相手と判断されるため、低い評価になります。

しかし、無職で借り入れできなくても、派遣社員として登録してあれば、無職のままよりかは確実に借り入れしやすい状態になるでしょう。収入を得ているほうが借り入れできる金額は多くなりますが、契約自体ほとんど蹴られる無職よりは待遇が良くなるのはほぼ確実です。

無職の人は、貸金業者にとって返済能力が極めて低いと見なされるため、まともな借り入れができません。一方、派遣社員は携帯によっては収入が不安定と判断されますが、無職よりは返済の見込みがあると判断されるので、たとえ現時点で収入がなくても、無職よりは扱いがよくなります。

貸金業者にとって派遣社員は玉石混交の融資相手?

一言で派遣社員といっても、その実態はかなり複雑です。専門職の派遣社員は、社会にとって必要不可欠の存在ですし、人材需要がかなり高い存在です。

一方、サービス業に携わる人材派遣会社は極めて多く、そこに登録してある相手を一人ひとり調べることは貸金業者にはできません。つまり、派遣社員という職業を契約申し込み時に提示されたときに、貸金業者は、その人がどの程度の収入があり、返済能力がどのくらいであるのかを極めて図りにくい相手なのです。

最近になって貸金業者は、派遣社員がキャッシングなどを申し込んできたときに、借り入れの希望額に多寡にかかわらず、収入証明書類の提出を義務付けるようになってきました。

派遣社員だと一括りにして審査をするのではなく、派遣社員の中でもどの程度の収入を得ているのかを厳密に調べるようになりました。名ばかり派遣社員の問題が表面化してきた結果ともいえます。しかし、この方法にも限界があります。

空白時期がある派遣社員の収入はどういった評価をされるのか?

派遣社員の審査で最も難しいといわれるのが、現在収入がない状態の派遣社員の見極めです。「今収入がなければ無職と同じ扱いにする」と一律で決められれば楽なのでしょうが、実際には、もう少し複雑になっている金融業者がほとんどです。

それは、たまたま職場を探しているのか、名ばかり派遣社員なのかを判断できないからです。一概にすべて審査を蹴ると、顧客離れが深刻になるために、グレーゾーンのような扱いになっているのです。

そのため、「借り入れは認めるが現時点で無収入なので、利用可能金額は最低限のみ」というような、ある意味一時しのぎ的な対応になっている貸金業者も散見されます。

大手消費者金融や大手銀行では、顧客が確保できているので、契約申し込み時点で収入がない派遣社員は審査ではじくことができますが、事業規模が小さい中小の消費者金融では上述したような対応になっていることが多いのです。

逆に言えば、無職でどうしてもお金を借りる必要があるならば、人材派遣会社に登録だけして、中小の消費者金融で借り入れするのが最も確実な方法ともいえるでしょう。

貸金業者にとって、現時点で収入がない派遣社員は、その実態を調べにくい原因もあって、扱いが難しいと考えられています。登録だけして全く勤務していない「名ばかり派遣社員」を見分けられないためです。

貸金業者によっては、派遣社員に収入証明を義務付けていることもあり、収入のない派遣社員は無職と同じ扱いになっているケースもあります。こうした対応にも限界があり、もし無職で借り入れの必要がある場合は、依然として、派遣登録だけする方法が有効であることは変わりません。

無職が派遣社員と主張することに法的な問題はないのか

さて、ここからは実際問題として、無職の人が借り入れをする際に問題になる行為の可能性の内容になります。

まず、実際には働く気がないにもかかわらず、人材派遣会社を利用して職業を偽ることに対して法的な問題がないのかについてです。これは、問題なしと判断されることがほとんどです。

違法でないと判断される最大の理由は、「働く気が最初から全くない」のか「働く気はあるがいい条件がなくて登録だけしてある状態が続いている」のかを判断することは不可能に近く、証明できないからです。

また、職歴詐称で問題になるのは、実際には勤務していない企業で勤務したと偽ったり、職種自体を詐称するケースです。さらに、それによって相手に損害を与える可能性が高い場合、またはその可能性が極めて高いと判断される時だけです。

今回の場合は、派遣社員という職業自体は本当のことであり、借り入れは実際に行われておらず、貸金業者側に明確な損害が出ていないため、違法と判断されることはほとんどないのです。

たとえ実態は働く気が全くない無職であっても、表向きはあくまで、「派遣業者に登録したけれども、現在は仕事を依頼されていない派遣社員」なのです。

現在無収入の派遣社員はどのくらい借り入れできるの?

無職に比べて審査で落とされる可能性はかなり低くなる派遣社員ですが、具体的に無職とどのくらい待遇に差があるのでしょうか。

まず、無職の場合ですが、カードローン(フリーローン)・キャッシング・銀行ローンすべてにおいて借り入れできる可能性は非常に低く、中小消費者金融で利用最低額の借り入れができれば上出来といった程度です。金額としては10万円前後が主な借り入れ可能金額の平均です。

派遣社員の場合は、収入があれば、年収に換算してその3分の1程度が融資可能金額になり、現在無収入の場合は、中小消費者金融で10万円~30万円程度が利用できる金額帯になります。在籍確認があり、人材派遣会社に、本当に登録されているか連絡されます。

無職だと借り入れ自体を断られることが多いのに対して、派遣社員であれば、たとえ申し込み時点で収入がなくても、無職よりもかなり審査で落とされることは少なくなります。

あまり褒められた行為ではありませんが、無職でどうしてもお金が必要な時は非常手段として利用することも考えておきましょう。もちろん、返済計画はしっかりと立てることが前提です。

無職の人が派遣社員の登録だけする行為に法的な問題はありません。勤務地をでっち上げたり、勤続年数や収入を偽ったりしなければ、職歴詐称行為に引っかかることもありません。

派遣社員のキャッシング金額可能金額は、収入によって判断されますが、無職では断られるところでも、利用最低限の借り入れが認められやすいという利点があります。しかし、近年では、返済能力が低い相手に対して対応が厳重化している影響もあり、借り入れが難しいという実態があります。

短期アルバイトと名ばかり派遣社員の待遇の差を知っておこう

無職よりも、人材派遣会社に登録だけでもしておくほうが借り入れが有利になることを踏まえたうえで、短期のアルバイトをした際の待遇の変化についても触れておきます。

短期といっても、日雇い、3か月未満、1年未満というようにアルバイト期間によって扱いが変わります。日雇いはほぼ無職と同じ扱いです。3か月未満の超短期アルバイトは、名ばかり派遣社員とほぼ同じ扱い。3か月以上のアルバイトでようやく定期的な収入があると判断してもらいやすくなります。

貸金業者でキャッシングをするにあたって、この「定期的な収入」ということは極めて重要な意味を持ちます。

返済が数か月にわたって続く借り入れにおいて、短期的な高額収入よりも、金額は多くないけれども一定の期間安定して収入を得られるほうが、価値があると判断されます。

結論としては、きわめて短いバイトをするぐらいなら、派遣登録をしたほうが借り入れしやすく、ある程度の金額以上のキャッシングを求めるなら「定期的な収入」を確保する必要があるということです。

名ばかり派遣社員は、収入の証明を求められるような貸金業者からは借り入れできないため、中小の消費者金融に利用先が限定されるということも併せて把握しておきましょう。

無職の人が借り入れで断られることを回避する最も簡単な方法が、名ばかり派遣社員になることです。「働いて収入を得ればいいじゃないか」というのは正論ですが、それが叶わない人もいます。ある意味では苦肉の策なのですが、どうしても働けない人に有効な方法であるのも事実です。

日雇いや超短期のアルバイトでは、まともに返済能力があると判断してくれる貸金業者は非常に少ないという現実を知っておきましょう。ただし、もし名ばかり派遣社員になるのであれば、絶対に嘘の情報を作ってはいけません。あくまで「現在は派遣されていないだけ」という姿勢を崩さずに経歴詐称をしないようにしましょう。

関連記事