年収の3分の1までしか借りれないという総量規制の導入はもう5年以上も前のこと。直後は混乱気味でしたが、今はすっかり落ち着きを取り戻しています。
総量規制をきっかけに借り過ぎの人が債務整理に踏み出し、多重債務者の数は明らかに減ったのだとか。
しかし一方で返済能力のある人までが、規制のせいで借りれないという指摘もあります。そこで返済に余力のある人が現状の総量規制をどう使いこなせるのか、ちょっと調べてみることにしました。
その前に、そもそも総量規制とはどういうものなのかを見ていくことにしましょう。
総量規制は、借入総額がその人の年収の3分の1までに制限される制度です。借入限度額は、複数の会社から借りている場合はその累計で計算されます。
この総量規制の適用を、例題をあげて考えてみます。
消費者金融X社に150万円の借入を申込んでも、総量規制で140万円が上限と決まっているため、これ以上は絶対に借りれません。
しかしこれは理屈上の話ですから、初めての申込みで実際に借りれるのは、今回の希望額を下回る金額になるでしょう。
そこでX社で100万円しか借りれなかったとして、この人が不足分を他で借りることは可能なのかを考えてみます。
クレジットカードAでも40万円が限度で、合算で140万円を超える借入は不可能です。
このように複数から借りた場合は、借入残高の総額で年収の3分の1を超えていないかどうかをその都度判断されています。
貸金業者は、借入残高に定期的にチェックを入れることが義務づけられており、自社だけでなく他で新たな借入を増やされることについても常に気を配っていなければなりません。
このような状況もあって、自社での限度額については、理屈上の上限よりも更に控えめになるのが普通です。
このように厳しい総量規制ですが、例外もあります。身近な例としては、専業主婦に対する貸付です。
本来ならば本人の年収が0円だと借りれませんが、例外として配偶者の年収の3分の1まで借りることが可能となります。
ただしこの場合、配偶者の同意書や婚姻を証明するものなど別途書類が必要で、大手消費者金融では対応していません。大手企業では、必ず本人に何らかの収入があることが申込み条件となります。
また自動車ローンや住宅ローンも除外されています。自動車ローンや住宅ローンの借入残高が計上されれば、多くの方の借入残高はすぐに年収の3分の1を超えてしまうでしょう。
以下が総量規制の対象外となる貸付の一覧です。
「例外」と「除外」の違いをご説明しておくと、除外は最初から計算に入れないことで、例外は、計算には入れるが年収の3分の1を超えても構わないという意味です。
但し総量規制がかかってくるのは貸金業のみです。消費者金融やクレジットカードのキャッシングを使わないのなら、年収について神経質になる必要はありません。
例えば銀行など金融機関で借りるなら、総量規制からはフリーなのです。
次は銀行からの借入を組み合わせることで、総量規制の制限を超える利用法をご紹介します。
先ほどの例題を続編として使いましょう。
この人はどうしても140万円借りたいのですが、現時点では消費者金融とクレジットカード合わせて110万円しか借りれていない状況です。
そこで今回新たに銀行カードローンBで30万円申込むことに。銀行なら総量規制は関係ないので、30万円借入、合算で140万円借りることも不可能ではありません。
しかしこれは銀行の審査次第です。総額140万円を超える借入を法的に制限するものはありませんが、審査が厳しければ今回の融資枠は0円、即ち審査落ちということも考えられます。
一例として、銀行が申込者の借入状況にどのくらい関心があるかを見てみましょう。以下にあげる項目は、銀行カードローンとして人気の三菱東京UFJ銀行バンクイック「お試し診断」の他社の借入状況を問う設問部分です。
ならば、むしろ最初に銀行カードローンの審査を受けておく方がいいかもしれません。そうすると同じ140万円の借入も、このようなパターンになります。
最後に借りた消費者金融X社は、最初の銀行カードローンBの100万円については総量規制の勘定に入れる必要がないため、理屈上ではこれ以上の融資も可能です。
銀行というと先ほどご紹介した三菱東京UFJ銀行のように大手の名前が思い浮かびますが、カードローンを扱う銀行はこのように地銀からネットバンクまで非常に多彩です。
ほとんどのものがインターネットから申し込めますが、地銀の商品は全国対応でない場合もありますのでご注意ください。
複数の企業から借りる場合、最初に銀行から借りておけば、後で消費者金融で借りる時に残高が年収の3分の1の計算から除外され、審査上有利です。
総量規制はそもそも多重債務者をなくすことが目的ですから、お金を借りている人が不利を被っては本末転倒ですよね。
そのためおまとめや借り換え、また個人事業主への貸付は総量規制対象外となっています。次はこの2つについてご説明しましょう。
借換えやおまとめローンの利用もそのひとつで、借り過ぎで返済が負担になった場合も、年収の3分の1という上限を気にせず申し込むことができます。
そこで先ほどの例題を引き続き使って、消費者金融でおまとめした例を考えてみましょう。
残高を合算すると年収の3分の1ギリギリですので、通常ならば審査には通らないところですが、おまとめローンならば可能です。
消費者金融Z社に一本化すれば返済が楽になりますし、金利も低くなります。銀行を使えばさらに低金利での借り換えが可能でしょう。
またもう1つ、個人事業主用ローンも総量規制の対象外です。個人事業主用ローンは、お店を経営している方など以下のように自営業の方が利用できます。
(⇒様々な職業の方におすすめのキャッシング情報)
個人事業主ローンには、このように多数の企業が対応しています。
企業 | 個人事業主ローン | 最高限度額 |
---|---|---|
アコム | ビジネスサポートカードローン | 最高300万円まで |
プロミス | 自営者カードローン | 最高300万円まで |
アイフル | 事業サポートプラン | 最高250万円まで |
総量規制の対象外なので、それまで個人向け融資を受けていた人も、こちらに借換えることでもっと借りれる可能性が出てきます。
個人事業主用の貸付においては、本人確認書類以外にも以下の書類が追加で必要となります。
審査をクリアするには、このような必要書類を万全に揃えておくことも肝心です。必要書類に欠けや漏れがあると、審査には通っても利用限度額が低くなる可能性があります。
また個人事業主向けの貸付も総量規制の対象外ですので、お店のオーナーや文筆業の方などは、こちらに借換える方が有利です。普通よりも必要書類が多いので、事前にしっかり準備しておきましょう。
これまでご紹介してきた方法は、全てルールに適ったものばかりです。しかしそれ以外にも、総量規制と無関係にお金を捻出する方法が存在しない訳ではありません。
しかしその代わりに信用を失うという結果が待っています。この危険性について、最後にご説明したいと思います。
私たちのごく身近にあるのが、クレジットカードの現金化と呼ばれる方法です。
総量規制というのは個人向けのキャッシングにだけかかってくる制度ですから、例えばクレジットカードのショッピング枠を使って現金化をする場合、総量規制とは無関係です。
ネットで簡単に申込めるのでつい利用する方も多いのですが、現金化はクレジットカード規約違反です。
発覚次第、即刻利用停止となり、現在の利用残高を全て一括返済しなくてはなりません。これでは元より困窮するはめに陥ってしまうでしょう。
また現金化して手に入れた額を通常のキャッシングで借りた場合に比べると、実は遥かに割高です。
そこへ持って来て、強制退会や全額返済というネガティブな記録のせいで、他からの借入が一切できなくなるといった更なる困難が上乗せされる可能性も。
すぐに現金が手に入るので飛びつく方も多いのですが、実際にはこのように踏んだり蹴ったりの結果になる危険性が高いのです。
また総量規制は貸金業法の規定ですので、貸金業の登録をしていないような業者から借りるとしたら、これもまた規制とは無関係です。
しかし登録業者ではないということは即ちヤミ金ですので、やはり現金化同様、後々の返済負担は通常のキャッシングよりもずっと重たいものになります。
このように、総量規制を超える借入については、ルール違反の手段や正規以外の業者に頼ってしまうと、結果的に傷を広げることにしかならないケースが殆どです。
総量規制の枠を超えた借入を考えるならルール厳守が基本で、それ以外の方法は後が苦しくなるだけです。
【参考ページはこちら】
危険なキャッシング審査の特徴はこれ!
ルール違反のやり方でも年収の3分の1を超える借入は不可能ではありませんが、このような方法を使うと後でもっと困ることになるのが目に見えています。中でも現金化は手軽に見えて、ルール違反なのは闇金と同じ。後が大変ですので手を出さないようにしてください。
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例外は収入のない専業主婦ですが、大手消費者金融では未対応です。また車ローンや住宅ローンなど、対象外の借入が他にもあります。