カードローンでお金を借りるときに必ずついてくるもの、それは「利息」です。
金利が低いほど利息額は減りますが、なかなかそうもいきません。住宅ローンなどに比べて審査が甘いからと、ちょっと高めの金利でも借りている人も多いのではないでしょうか。
(こちらもご参考に→審査が甘いカードローンは?)
利息金額を減らす方法は低金利の商品や繰り上げ返済など様々ですが、昔はぐっと金利を減らす裏技テクニックがありました。それが「大車輪」と言われる方法です。
あまりカードローンを利用している方の中でも知っている人は少ないのでは?と思える「大車輪」。その名前から一体どんな方法なのかは全く想像がつきませんよね。
「家計が火の車」とか「自転車操業」といったお金に関する言葉で車と関わっているものは意外とありますが、大車輪もそのひとつといってもいいのかもしれません。具体的にどのような方法で、一体どんなメリットがあるのかをまずは説明していきたいと思います。
「大車輪」とは、一言で言ってしまえば複数のカードローンを利用して利息を大幅に削減する方法です。そして、そのポイントは「無利息期間」によるところがとても大きいんです。
なぜ「ノーローン」しかいけないのか?その理由は「繰り返し無利息期間を難しい条件ナシで利用できるのがノーローンだけ」だからです。
そのため、大車輪のことを「シンキ回し」と言う人もいます。シンキというのはノーローンの会社(ノーローンはブランド名というわけです)で、現在は「レイク」でおなじみの新生銀行グループとなっています。
現在お金を借りている会社とノーローンからの最低2社からの借り入れが出来れば大車輪の準備は整います。
そうするとノーローンの無利息期間が復活するので、再度ノーローンからお金を借りてA社への返済に充てるのを繰り返す…これが大車輪です。
ノーローンの無利息期間サービスを最大限に利用して、少しでも支払う利息を減らすことが目的というわけですね。
この方法は昔は非常に流行っていたようで、大車輪を勧めるようなインターネットサイトも多かったようです。実際大車輪を利用していると、なんと利息が80%以上もカットできたようです。
その理由はノーローンの無利息期間の復活の短さ。そもそもの大車輪のシステムとしては
日数 | 具体的な内容・行動 |
---|---|
1日目 | ノーローンから借り入れ |
2日~6日目 | この間にノーローンで借りた分を 他社返済に全額充てる (ノーローンから借りた日でも可) |
7日目 | この日に他社からお金を借りて ノーローンの全額返済に充てる |
8日目 | 再度ノーローンから借り入れ (無利息期間が復活するため) |
9~13日目 | 他社返済に充てる |
14日目 | ノーローンを完済する |
このように、無利息期間が完済日の翌日に復活することが大車輪をよりお得に行うことが出来る条件だったと言えます。確かにこのように借り入れと返済を繰り返していれば、1ヶ月の間に他社の利息がつくのは4日分となり、大幅に利息をカットすることが可能でした。
もちろん現在でもノーローンを上手く利用すれば、1週間分の利息を節約することは可能です。とはいえ、2007年までのようにすぐに無利息期間が復活…というわけではないので、利息カット率は大幅にダウンしています。
方法は同じで、
というものです。
とはいえ元の大車輪と違い、1ヶ月につき7日間しか無利息期間を享受できませんので正直裏技…というほどでもありません。ちょっとオトクにお金を借りられるよ、というくらいですね。
正直いって、大車輪は少々めんどくさいようにも感じます。確かに無利息期間が繰り返し利用できるとはいえ、現在の低くなりつつある金利で考えると本当にお得なのかどうか…ちょっと気になりませんか?
私は正直気になります!(笑)というわけで、実際現在の大車輪はお得なのかどうか?を、実際に計算してみることにしました。
非常に一般的な借り入れ金額、及び金利であろうケースで計算してみたいと思います。返済条件などは以下とします。また、条件には記載していませんが、現在他社から借り入れている金額は全額ノーローンで借り入れることが可能とします(この場合、ノーローンで50万円の借り入れが可能)。
まずは普通に毎月1万円ずつ返済する場合です。
返済回数 | 返済額の合計 | 利息金額 |
---|---|---|
95回 | 944,644円 | 444,644円 |
かなり高い金額ですね…。それでは、大車輪を利用した場合、どのくらい利息を節約出来るのでしょうか。毎月1万円ずつ返済していくため、元金を1万円ずつ減らした状態で7日間カットできる利息を計算しました。ただし、これは他の利息分を入れていない計算ですので、結果よりもより多くの金額が節約できると思ってください。
計算の結果、最低ラインで節約できる金額は
となりました。いかがでしょうか?先ほどの計算と比較すると利息額は30万円台となり、返済総額も80万円台となります。もう少し節約できると考えて6万円くらいを想定したとしても、驚くほどカットされているわけではない…という感じですね。
ただ、1ヶ月はだいたい4週間。そのうちの1週間が無利息となるのですから、支払う利息が4分の3になると考えれば、単純に計算すると利息金額は「333,483円」。10万円くらいはカット出来る可能性もあると考えられますね。
それでは次に、金利が低めの設定である銀行カードローンで借りていると想定した場合の試算もしてみたいと思います。
大手銀行のカードローンの金利をだいたい平均化すると14.5%くらいになりますので、以下の条件で試算してみました。
この計算もさっきと同じく、特別繰り上げ返済などを行わずに毎月こつこつと返済していった場合です。
返済回数 | 返済額の合計 | 利息金額 |
---|---|---|
79回 | 782,578円 | 282,578円 |
金利が18%のときと比べると、大幅に利息が減っていることがわかりますね。
そして単純計算してみると削減出来る利息が「35,430円」と、金利が18%の場合に比べると1万円程度しか削減できていないことがわかります。加えて、こちらも単純に利息額を4分の3にしてみると211,933円となり、カットできる利息は約7万円といったところでしょうか。
借りている金額が50万円であることを考えると、約5分の1の金額である7万円がカット出来るのであれば低金利であってもそこそこお得と言えるのかもしれません。
1円でも少ない利息にしたい!というのであれば大車輪は今でも有効と言えるのかもしれません。しかしながら毎月完済→借入の作業は最初の数ヶ月はよくても95ヶ月、8年近くもそれをするとなるとかなりの労力であることは間違いありません。
それなら繰り上げ返済をしたほうがよっぽど利息を節約することができそうです。
ノーローンの無利息期間を利用することで、ある程度支払う利息がカットされることはわかりました。でも正直いって何回も借りて返済を繰り返すというのは、かなりの手間がかかる行為であることには違いありません。
幸いにも、ノーローン以外にも無利息期間サービスを行っているカードローン会社は複数あります。ほとんどが申し込み時などの初回限定ではありますが、そのような無利息期間とくらべてどのくらいお得になるのか、どのくらいの差があるのか調べてみました。
業界の中でも非常に珍しく、ここだけではないか?というくらい特徴的な無利息期間があるのが「新生銀行カードローン レイク」です。銀行カードローンながら無利息期間が「30日間」と「5万円まで180日間」という2種類から選ぶことが出来、自分の借りるスタイルによってどちらがお得か計算も出来るという親切な仕様です。
もちろん比較条件は先ほどと変えません。
という条件で進めてみたいと思います。レイクは2種類無利息期間サービスがありますので、それぞれの場合で算出してみます。
(こちらもご参考に→レイクでお金を借りたい人におすすめ)
無利息期間の種類 | 返済回数 | 返済額の合計 | 利息金額 |
---|---|---|---|
5万円まで180日間 無利息 |
91回 | 900,295円 | 400,295円 |
30日間無利息 | 89回 | 888,798円 | 388,798円 |
どうでしょうか。実際に計算してみると「30日間無利息サービス」を利用した場合、大車輪で返済したケースとの差額は単純に利息額の4分の3になると計算した場合と比較しても5万円以内になります。5万円ときくとそこそこ大きいですが、明らかな差になるほどではない、というのが正直な感想です。
レイクだけでなく、30日間無利息サービスを提供している会社は他にもあります。消費者金融となりますが「アコム」は初回のみ、「プロミス」は初回及びポイントサービスにてポイントを使用した場合に無利息期間が提供されます。
こちらの2社についてもどのような金額になるか計算してみましょう。ちなみにアコムの最高金利は「18.0%」、プロミスは「17.8%」となりますので、それぞれの最高金利にて計算してみます。
会社名 | 返済回数 | 返済額の合計 | 利息金額 |
---|---|---|---|
アコム | 89回 | 888,798円 | 388,798円 |
プロミス | 84回 | 878,726円 | 378,726円 |
アコムは金利が18%とレイクと同じなので結果は同一、プロミスは17.8%と少し低めなので結果も下がったという感じですね。少々プロミスは特殊な計算をしていますので、確実にこの金額とは言えないところはありますが金利の差がわかる感じにはなっているかと思います。
ちなみにプロミスにて30日間無利息サービスを使用しなかった場合、金利は「405,262円」となります。4分の3と単純計算すると利息額は30万円程度。
30日間無利息サービスよりも大車輪の方が利息はカットできるということになりますね。
当たり前ではあるのですが、返済回数が少なくなる…毎月の返済額を多く設定するごとに大車輪を使用した際の差は少なくなっていきます。50万円借りて1万円という返済額は実はちょっと少ない金額。金利が18%の場合、返済額によって以下のように変化します。
返済額 | 返済回数 | 返済額の合計 | 利息金額 | 大車輪(4分の3) |
---|---|---|---|---|
12,000円 | 66回 | 782,952円 | 282,952円 | 212,214円 |
15,000円 | 47回 | 694,050円 | 194,050円 | 145,537円 |
このように、どんどん差が小さくなっていくことがわかります。これに無利息期間をプラスした場合はどうなるでしょう。
返済額 | 返済回数 | 返済額の合計 | 利息金額 | 非利用時との差額 |
---|---|---|---|---|
12,000円 | 64回 | 764,036円 | 264,036円 | 18,916円 |
15,000円 | 46回 | 679,668円 | 179,668円 | 14,382円 |
このように利用した場合としない場合で約1万5000円~2万円の差額が出るだけでなく、大車輪との差もかなり縮まることがわかります。
毎月完済してまた借りる、という行為を繰り返しても30日の無利息期間を利用した場合とそんなに大きく差がないと考えると、手間を考慮すればやはり今の大車輪はあんまり労力に見合ったものではないことがわかりますね。
あくまでも金利節約のための裏技ですし、節約額もそう大きいとはいえないのできちんと真面目に返済したほうが精神的にも負担が少ないでしょうね。
いずれの比較でも、なんだかんだで大車輪を行うほうが金利の節約になりお得…ということがわかりました。一時期ではありますが非常に流行した手段ですので、お得で当たり前、ということはうなずけます。
では一体、どのくらいの借り入れ金額で大車輪の手間をかけるほどの差ではなくなるのでしょうか?
借入金額として一般的に多いのは~50万円程度だと考えます。複数他社から借りている場合は合計で100万円近くになることも考えられますが、そこまで借り入れる方はそうそういないのではないかと考えます。
とりあえずピンチだからお金を借りたい!という方であればせいぜい10万円程度あれば十分。
という条件で返済金額を変えて計算してみました。
返済額 | 返済回数 | 返済額の合計 | 利息金額 | 大車輪(4分の3) |
---|---|---|---|---|
5,000円 | 24回 | 119,429円 | 19,429円 | 14,571円 |
10,000円 | 11回 | 109,018円 | 9,018円 | 6,763円 |
もとの利息金額が少ないので、差は数千円程度にまで縮まりました。この数千円を節約したい!!というのであれば大車輪を行えばいいとは思いますが、この程度の差だと手間のほうが多くかかり面倒…といった印象ですね。
さらに、無利息期間サービスを利用するとどうなるか見てみましょう。今回は「レイク」の2種類の無利息期間について、
という条件で計算してみました。先ほどの表では無利息期間を使用しなかった場合の利息金額は「19,429円」となります。
無利息期間の種類 | 返済回数 | 返済額の合計 | 利息金額 |
---|---|---|---|
5万円まで180日間 無利息 |
23回 | 113,451円 | 13,451円 |
30日間無利息 | 24回 | 117,356円 | 17,356円 |
なんと、5万円まで180日間無利息サービスを利用した場合、大車輪を下回る利息となりました。
借り入れ金額が低く、かつ5万円ではありますが180日間という長期間無利息期間があることによって下回ったというわけですね。
ATMを利用して大車輪を行う場合、ATM利用手数料がかかってしまいますので、それが積もり積もったら結局差額分よりも手数料でお金がかかってしまうことも十分に考えられます。
10万円程度の借入なら、大車輪を行うだけソンといってもいいかもしれません。
先ほどのトピックでは10万円でしたが、もっと少ない2万円~3万円を給料日前に借り入れて、給料日がきたら返済する…というような細かい借り入れを行っている場はどうなのでしょうか。
もちろん最初にまとめて借りてあとは返済、という目的別ローンのような使い方をする方もいるかもしれませんが、多くの方が借りて返して、を繰り返すフレキシブルな利用になるはずです。
そのような使い方をする場合、大車輪をする必要はあるのかどうか、検証してみましょう。
3万円を借り、完済までの日数を金利ごとに表にしてみましょう。「カードローン金利は高いから利息も高い!」と思っている方が多いと思いますが、この表を見ると意外なことに気づかれるのではないでしょうか。
借入日数 | 金利18% | 金利15% |
---|---|---|
1日 | 14円 | 12円 |
1週間 | 103円 | 86円 |
14日 | 207円 | 172円 |
1ヶ月 | 443円 | 369円 |
どうでしょうか。なんと、1週間以内の返済であればATM利用手数料よりも低い額なんです。1万円超でATM利用手数料は200円(+税)なので、14日間の間に完済してもオトクですよね。
こんなのは正直大車輪なんてするだけムダといえます。しかもノーローンなら7日間なら利息が無料ですので、さらにオトクに使えちゃいますね。
先ほどの表で計算した金利は「18%」と「15%」でしたが、さらに低金利のカードローンは実は増えてきています。
地方銀行や信用金庫といった、営業エリアが限定されている金融機関のカードローンは特に狙い目です。
利用するためにはその金融機関の口座を開設していなければならなかったり、申し込み手続きのために店頭窓口に行かなければならないなどの注意点があったり、ネット振込で借りられないなど利便性の面でもちょっと不便なケースもありますが、10%程度の金利で借りることが出来るなど魅力も大きいです。
大車輪を行うにはそもそも「ノーローン」だけでなく他社でカードローン契約を行っていなければなりません。いわゆる「多重債務」に近い状態になります。
昔こそ複数の会社から借入ができましたが、現在はグレーゾーン金利対策など借入の健全化への取り組みが行われており、簡単に複数社からの借入・契約が出来なくなってきています。
わざわざ「大車輪をするため」にノーローン以外のカードローンを契約するのはなかなかリスキーですし、仮に延滞などでブラックリスト入りしてしまうと2社まとめて利用停止になってしまうことも十分に考えられます。
ムダなリスクを回避するためにも、細かい借入と完済を繰り返す方が大車輪を行うよりも安全に、かつオトクにカードローンを利用できると言えるのではないでしょうか。
月に何回借入をするか…回数にもよりますが、月1給料日前程度、ということであれば「ノーローン」1社で十分と言えそうです。もし7日間の間に完済できなくても、14日くらいまでであればATM手数料よりも少ない金額で済みますしね。
ここまで大車輪はどのようなものか、そしてどのくらいお得になるのか様々なケースで比較してみましたが、いかがでしたでしょうか。
確かに大車輪を利用することで支払う利息を確実に節約することが出来るのは大きなメリットと言えます。全体的にみれば数万円ではありますが、ある程度まとまったお金を繰り返し借りても、レイクやアコムの無利息期間サービスのように条件が厳しくないため、永続的に利用することが出来るので積み重なると大きな差にはなっていくでしょう。
しかしデメリットといいますか、面倒な点・注意しなければいけない点もあります。
と、大車輪はまず「ノーローンありき」な方法なので、前提としてノーローンの審査に可決しないと大車輪自体を行えません。また、審査に可決したとしても利用限度額によって節約できる利息額が変わります。
例えば他社から80万円借りていても、総量規制などが理由でノーローンで20万円までしか借りられない場合、節約できる利息は全体の4分の3に満たず、1万円程度しか差がつかないことも十分に考えられます。
さらに、7日間の間にノーローンからお金を借りて他社に返済、他社から借り入れてノーローンに返済という行為を続けなければならないため、非常に手間がかかります。1ヶ月に1回のことだから…と思えるなら大丈夫ですが、それが完済まで続くとなるとなかなか面倒です。しかもそれを忘れてしまうと、翌月に影響が出てしまうのでさらに面倒なことに…。
以前のように何度でもすぐ繰り返して利用できるのであればかなり価値は高いとは思いますが、現在のシステムではその手間に見合った価値はあるのか?というのが正直なところです。自分のお金の借り方や借り入れ金額と相談して行うかどうか、じっくりと考えてからのほうがいいでしょう。
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それよりは「出来るだけ借りたら早く返済する」「低金利のカードローンを選んで利息を少なくする」といった形での努力をしたほうがよさそうですね。
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もちろん現在はそのようなことは出来ないので利息はしっかりと返済しなければなりませんが、大車輪をしたとしても結局元金が減るわけではないので、借金返済のためのサポートにはなっても根本的な解決法にはなっていないんですよね。
自分が返済出来るだけの金額を借りるように気をつけたいところです。